網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)

当院での対応と特色

目の遺伝性疾患には様々なものがありますが、特に網膜の変性疾患に注力して診療を行っています。代表的な疾患は網膜色素変性症です。当院は県内でも数少ない“暗所視支援眼鏡”に対応可能な医療機関に指定されており、ロービジョンケアにも力を入れています。県内外の医療施設からも患者さんをご紹介いただき、診断、治療を行っています。また産業医科大学眼科学教室教授・近藤 寛之先生の専門外来を定期的に行っています。
状態が安定した後は、ご紹介頂いた地元の先生に経過観察して頂くよう連携を図っています。

網膜色素変性症とは?

眼の中で、光を感じる組織である網膜に異常がみられる遺伝性の病気です。原因となる遺伝子の種類が複数ある為、病態が多岐にわたります。日本では人口10万人に対し約20人の患者がいると推定されていて、厚生労働省によって難病に指定されています。

網膜色素変性症の眼底

症状

特徴的な症状は、夜盲(暗いところでものが見えにくい)、視野狭窄(視野が狭い)、視力低下の3つです。通常は夜盲が最初に現れる事が多く、その後に視野が狭くなり、視力低下を自覚する様になります。症状は数年あるいは数十年かけて進行しますが、症状の進み具合や起こる順序にも個人差があり、最初に視力が低下してから夜盲を自覚する人もいます。

治療

網膜色素変性症に対しては、現在のところ残念ながら根本的な治療法がありません。治療法の開発に向けて、網膜神経保護、遺伝子治療、網膜幹細胞移植、人工網膜などの研究が行われています。なお当院では、残っている網膜の機能を最大限に活用し、患者さんが少しでも社会生活を送りやすくできるよう、ロービジョンケアにも力を入れています。

暗いところでも見えやすく!「暗所視支援眼鏡」

高感度カメラで捉えた映像を目の前のディスプレーに映し出すことによって暗所視をサポートする「暗所視支援眼鏡」も取り扱っています。
暗い場所でも明るく見えるほか、視野を広げたり、映像の拡大・縮小等も可能です。
多くの自治体で給付等事業の対象とする動きが広がっており、1割程の費用負担で購入できるようになってきました。
院内に実機があります。試用や訓練をご希望の方は検査スタッフへお申し出ください。