関心分野

1.網膜剥離の診断・治療

1972年にDr.Charles L.SchepensのClinical Fellowとして採用されて以来、網膜剥離の診断と治療に興味を持って仕事を進めて来た。診断の重要性、特に強膜圧迫子と双眼倒像鏡の意義を強調し、手術にはシリコン埋没術の日本での普及に努めるべく広瀬竜夫氏と共に下記シリーズを眼科臨床医報に連載した。

  1. 網膜剥離 最近の進歩シリーズ その1 強膜圧迫子と双眼立体倒像検眼鏡(総説など#7)
  2. 網膜剥離 最近の進歩シリーズ その2 正常および異常周辺部眼底像(総説など#8)
  3. 網膜剥離 最近の進歩シリーズ その3 網膜剥離の診断および鑑別(総説など#9)
  4. 網膜剥離 最近の進歩シリーズ その4 裂孔原性網膜剥離の原因(総説など#10)
  5. 網膜剥離 最近の進歩シリーズ その5 網膜剥離の手術原理(総説など#11)
  6. 網膜剥離 最近の進歩シリーズ その6 網膜剥離術後の取り扱い(総説など#12)
  7. 網膜剥離 最近の進歩シリーズ その7 網膜剥離の手術手技(総説など#15)
  8. 網膜剥離 最近の進歩シリーズ その8 網膜剥離再手術の手技(総説など#17)

その後も一貫して網膜剥離をライフワークとして続け、手術件数はMassachusetts Eye and Ear Infirmaryで約500件に関与、熊本大学勤務時代に約400件術者として行った。1979年から2007年まで出田眼科病院で行った手術件数は、網膜剥離に対して網膜バックル術7,627件、網膜剥離および硝子体疾患に対して行った硝子体手術8,336件に至っている。その間出田眼科病院でフェローとして網膜硝子体疾患の研修教育を行い、これを修了した者は62名に及んでいる。

2.未熟児網膜症

1974年、米国より帰国後、未熟児網膜症の検査には双眼倒像鏡の使用が不可欠であることを知り、自ら考案した未熟児用強膜圧迫子を使って未熟児の眼底を調べ発表した。網膜症の治療には冷凍凝固が有効であることと、光凝固より利点が大きいことを知り、いくつかの論文を下記以外にも発表した。1980年代前半には、未熟児網膜症国際分類の委員として、永田誠、植村恭夫、馬嶋昭生、田中靖夫氏と共に日本代表として加わり、数回の会議に参加して現在の分類の完成に貢献出来た。

  1. 未熟児網膜症に対する直視下冷凍凝固術(学術論文#29)
  2. 正常新生児の網膜周辺部血管像(学術論文#32)
  3. 未熟児網膜症の予後と無血管野の巾の関係(学術論文#33)
  4. Cryosurgery in the treatment of active stages of retinopathy of prematurity(学術論文#40)
  5. The Committee for the Classification of Retinopathy of Prematurity:An
    International Retinopathy of Prematurity(学術論文#55)
  6. 未熟児網膜症国際分類の評価とその問題点(学術論文#58)
  7. Cryosurgical Treatment of Active StagesofRetinopathy of Prematurity and 10 year Follow-up(学術論文#67)

3.アトピー性皮膚炎の網膜剥離

1980年頃より、アトピー性皮膚炎に発生する網膜剥離と外傷により発生する網膜剥離との間に共通性があることに気付いていた。それ以後症例をまとめ分析し、共通所見が多いことからアトピー性皮膚炎患者の網膜剥離は自ら眼球を叩く行為によって発生すると結論づけた。代表論文は以下の如くである。

  1. アトピー性皮膚炎にみられた網膜剥離2例(学術論文#50)
  2. Atopic Dermatitis and Breaks of the Pars Plana Ciliaris(学術論文#54)
  3. アトピー性皮膚炎に伴った網膜剥離の検討—外傷との関連性について—(学術論文#86)
  4. Retinal Detachment with Atopic Dermatitis Similar to Traumatic Retinal Detachment(学術論文#143)

4.網膜格子状変性の疫学・病態

網膜剥離をライフワークとしてやっているうちに、網膜格子状変性が重要な位置を占めていることが分かって来た。網膜剥離の原因の7〜8割を占めていること、人口の9.5%が有しているという高頻度の疾患であることが分かった。この疫学、眼底における特徴からその発生メカニズムが推察出来ないか、網膜剥離を起こす機序やその予防について経験を分析しいくつかの論文にまとめた。代表的なものは以下に示す。常染色体優性遺伝をすることも分かり、現在ではその遺伝子の存在部位を見つけるため、ゲノムの会(代表大野重昭氏)のもと横浜市立大学および東海大学の共同で検索中である。

  1. 網膜剥離を起こした網膜格子状変性と起こしていない格子状変性の比較
    (学術論文#41)
  2. 網膜格子状変性のHLAに関する検索(学術論文#53)
  3. 網膜格子状変性の対称性について(学術論文#59)
  4. 格子状変性による両眼性網膜剥離の検討(学術論文#72)
  5. 格子状変性による網膜剥離の発症年齢と屈折度の関係(学術論文#75)
  6. 網膜格子状変性巣の部位による網膜剥離発生の危険性(学術論文#151)
  7. 犬の網膜格子状変性について(学術論文#155、156)
  8. 網膜格子状変性による裂孔原性網膜剥離のTearとHoleの違い(学術論文#162)
  9. 網膜裂孔の年代別特徴(学術論文#164)
  10. Risk of Retinal Detachment in Patients with Lattice Degeneration(学術論文#176)
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